スマートキーの車を狙うリレーアタックの対策方法をご紹介します
自動車の鍵として広く普及しているスマートキー。遠隔で鍵の開け閉め・エンジンの操作ができることが便利で、私たちの生活に無くてはならない存在になっています。
しかし近年では、スマートキーの車を狙った「リレーアタック」という手口での自動車窃盗が発生しているご存知ですか?
本ページでは、2010年代から広まりつつあるリレーアタックについて、その手法や手口を紹介するとともに、被害から愛車を守るための対策もご紹介します。安心して生活を送るために、スマートキーが搭載された自動車の防犯対策にも十分に気を付けましょう。
目次
自動車窃盗の手法として増加している「リレーアタック」とは?
リレーアタックの対策についてご説明する前に、そもそも自動車の窃盗の手法「リレーアタック」とはどのような手口なのでしょうか?
スマートキーの電波を中継し、車の鍵を不正開錠するリレーアタック
リレーアタックとは、スマートキーの電波を中継することで、車の鍵を不正開錠する窃盗技術です。複数人でバトンをパスするかのように、リレー方式で電波を受け渡すことからその名が付いたと言われています。
スマートキーは常に微弱な電波を発信・受信しています。また、スマートキーで開けられる自動車も同様で、常時わずかな電波を送受信しています。そして、スマートキー・対応する車がお互いの電波を認識することで、鍵が開けられるシステムになっていますが、この仕組みを悪用したのがリレーアタックです。具体的な手口については、後の項目でご紹介します。
2010年頃から、リレーアタックの被害がヨーロッパ各地で広まった
リレーアタックの被害が広まったのは欧米で、2010年頃からその被害が報告されています。また、イギリスの自動車セキュリティ会社「トラッカー」の統計によると、ランドローバーやBMW・メルセデスベンツなどの高級車がリレーアタックの標的にされており、海外製の自動車でもその対策が求められています。
2018年に、日本国内で初めてリレーアタックの被害が報告されている
日本でも、自動車窃盗の手段としてリレーアタックが用いられています。2018年に大阪府守口市でその被害が確認されて以来、全国各地でリレーアタックによるとみられる自動車の盗難被害が相次いでいます。欧米と同様に、レクサスなど高級車の被害も確認されており、住宅と同様に自動車の防犯対策を強化する必要があります。
実際のリレーアタックの犯行は、複数人によって実施される
リレーアタックの犯行の特徴として、犯人は1人ではなく複数人であることが挙げられます。専用のハッキングツールの使い方さえ理解していれば、特殊な技術がなくても鍵を開けられることも相まって、その被害の数が深刻なものになっています。
リレーアタックの具体的な手口については、次の項でご説明します。
リレーアタックの具体的な手口とその流れ
複数人のグループによって犯行が行われるリレーアタック。では、実際のリレーアタックはどのような流れで行われるのでしょうか?
犯人の一人が鍵の持ち主に近付き、スマートキーの微弱電波を受信する
はじめに、犯人の一人がスマートキーに近付きます。これは、車から降りた直後でスマートキーを持っているドライバーに接近する方法のほか、スマートキーが置いてある住宅の玄関に近付く方法などが考えられます。
スマートキーに近付いたら、特殊なツールを用いて、ここから発信されている微弱な電波を受信します。
犯人の仲間が、その電波を受信・増幅して中継する
特殊なツールで受信した電波の情報をコピーしたら、その情報を増幅して再び発信します。この作業は、小さなツールを操作するだけで簡単に行えるため、周囲から見ても怪しい印象を受けにくいと言われています。
自動車の近くにいる他の仲間が、電波を受信して車の鍵を開ける
再発信されたスマートキーの電波の情報を、自動車の付近にいるもう一人の犯人が受信・再び発信します。これにより、自動車の受信機は「近くにスマートキーがある」と錯覚し、鍵を開錠してしまうのです。
なお、スマートキーと自動車の距離によっては、中継する人数を増やす必要があります。いずれにしても、特殊なツールがあれば数人で簡単に自動車の鍵を開けることができ、その脅威は全国的に知れ渡りつつあります。
自動車メーカー各社が行っているリレーアタック対策
自動車窃盗の数が減少している中でも、その被害の増加が懸念されているリレーアタック。ここからは、自動車メーカーによって進められているリレーアタックの対策についてご紹介します。
スマートキーに省電力モードを搭載し、使用時以外の電波をオフにできる
リレーアタックの被害が起こる原因として「スマートキーの微弱な電波を読み取られる」ことが挙げられます。そのため、スマートキーの使用時以外には電波の発信をオフにすることができれば、その被害を防止できるという考え方があります。
近年、多くの自動車メーカーでは、スマートキーに「省電力モード」や「節電モード」と呼ばれる機能を搭載しています。これらの機能は、スマートキーの電池の消耗を防ぐことを目的として作られていますが、リレーアタックの被害防止にも効果的。使用時以外の電波をオフにしておけば、電波を不正に読み取られる心配がありません。
しかし、使用時以外の電波をオフにしておくということは、スマートキーの魅力である「鍵を取り出さずに開錠・施錠する」という機能も損なうということ。長期的に使用しない場合・帰宅時だけ節電モードにしておく等、場合に応じて使い分けることがオススメです。
リレーアタック対策で特許を取った自動車メーカーもある
大手自動車メーカーのマツダでは、複数の電子キーのそれぞれにリレーアタック対策を機能させられるシステムを開発し、2017年12月に特許を取得しています(特許第6253004号)。同社ではこれ以外にも、スマートキーやリレーアタック対策に関する特殊技術の開発に力を注いでおり、その取り組みは他の自動車メーカーにも波及しています。
自分でもできるリレーアタック対策4選!
ここまで、自動車メーカーのリレーアタック対策についてご紹介しました。その対策は日進月歩に行われていますが、ご自身で対策を図ることも重要です。そこで、ここからはスマートキーの持ち主によるリレーアタックの有効な対策を、4つに分けてご紹介します。
① スマートキーを、金属製の缶や電波遮断ケースに入れて保管する
第一に、スマートキーを管理する場所に工夫することで、リレーアタックの被害を防ぐことができます。市販されている電 波遮断ケースに入れておけば、スマートキーを持って移動している際の対策を図ることができます。
また、金属製の缶にも電波を遮断する効果があると言われています。自宅や会社などにスマートキーを置いておく場合には、このような缶に入れて蓋をしておくことがオススメです。
② 玄関の近くで車の鍵を保管しない
玄関の近くで車の鍵を保管しないことも、リレーアタック対策においては重要なポイントです。一般に、スマートキーは半径1~1.5メートルの範囲に電波を届けることが可能。つまり、この範囲に犯人が立てないようにすれば効果的な対策となります。
住宅の玄関ではなくリビングに、戸建て住宅であれば1階ではなく上層階にスマートキーを置いておくことがオススメ。上で紹介したように、金属製の缶に保管しておく対策と合わせれば更に安心です。
③ タイヤロックやステアリングロック(ハンドルロック)を併用する
タイヤロックやステアリングロック(ハンドルロック)など、車の操作を物理的に不可能にする道具は、カー用品店などで各種販売されています。
これらはリレーアタックの直接的な対策ではありませんが、盗難防止のためには大いに役に立つことでしょう。防犯対策を施していることが明らかであれば、盗難の抑止効果を生む可能性も高まります。
④ 通行人の目の付きやすい場所に駐車する
リレーアタックの間接的な対策としては他に、自動車を停めておく場所に工夫をすることも挙げられます。いくら短時間で犯行が可能とはいえ、周囲の視線がある場所で自動車窃盗を行うのは憚られるもの。
なるべく通行人が多い場所・死角にならない場所に駐車することで、被害を未然に防ぐことにつながります。
素敵なカーライフを送るため、リレーアタックの対策を図りましょう
自動車窃盗の手口の割合として、増加傾向にあるリレーアタック。先進的なスマートキーを採用している自動車であっても、注意するに越したことはありません。
リレーアタックの対策をアップデートしながら、大切な愛車を守るために対策を続けていきましょう。
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